この世の果てまで、小説を持って。 私の心をどんな色にも染めてくれる小説。どんな世界でも見せてくれます。

なぜここに本が……

先日、仕事を終えて自宅の最寄り駅まで帰って来たときのことです。駅の階段を上がって外に出て歩き出した時、歩道に何かが落ちていることに気づいたんです。近寄るとそれは1冊の本でした。こんなところに本が落ちてるなんて信じられない気持ちでした。でも、拾い上げてみたら汚れていなかったし、落としてからそんなに時間が経ってないんだなって思いました。もちろん持って帰るつもりなんて全くなかったけど、読書好きな私はやっぱりそれが何の本なのかが気になってタイトルを見てしまいました。すると、私も読んだことがある作家さんの小説でした。なんだか急に身近に感じて、ちゃんと持ち主に返してあげたいなって思ったんです。でも、どうやって? だって、駅に着いてからそこに落としたのか、駅から電車に乗ったのか、もしくはそこを通りがかっただけなのか、全くわからないんですもの。だとしたら、その場に置いておくのが一番イイのかもしれません。もしかしたら、気づいて探しに戻ってくるかもしれません。けど、いくらなんでも、元通りに歩道に置いておくことはできません。考えた末、すぐそばのベンチの上に置きました。そこなら、見渡せばきっと目につくだろうし。振り返ってみたら、大丈夫、気づくはずです。あとは、ベンチに座った誰かが持って帰ってしまわないことを願うばかりでした。

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