この世の果てまで、小説を持って。 私の心をどんな色にも染めてくれる小説。どんな世界でも見せてくれます。

天使と悪魔

人間ならたぶん誰でも、心の中に天使と悪魔が住んでいると思います。もちろん、ほとんどの人は天使の声の方を選んで行動しているとは思いますけどね。でも、私だって、正直なところ、今までに一度だって意地悪な気持ちになったことがない、なんて言えません。つい意地悪心が生まれてしまったことだってあると思うんです。そして、たいがいは奥深いところに沈めておくんだけど、時には言葉にしてしまったこともあると思います。そんな言葉を言ってしまった後には必ず、自分も嫌な気分になってそのことを後悔するんです。
今読んでる小説にも、主人公の心の声の描写には、そんな葛藤が何度も出てきます。自分とは考え方や意見の違う人間に対して、彼らのその行為があまりに愚かだと思い、ムクムクと湧いてくる意地悪な気持ちをそのまま差し出したくなるって書いてあるんです。その衝動わかります。主人公もそんな衝動を何度も抑えるんだけど、過去に抑えきれなくなったとの記述があります。でも、それについてはまだ謎です。だから、この先を読み進めていけばきっと、何か事件が起きそうです。彼が爆発してしまいそうな気がします。けど、本当に繊細な心理描写が見事で、普通なら誰もが表に出したくない、誰かに知られたくない奥深いところにあるものを書いていて、思わず自分自身を見透かされているような気持になってしまうんです。けど、私の中にいる悪魔は封じ込めておきたいものです。

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