この世の果てまで、小説を持って。 私の心をどんな色にも染めてくれる小説。どんな世界でも見せてくれます。

なんて自由で楽しい雨

ラジオから流れて来た曲が懐かしくて懐かしくてたまらないことがあります。先日、運転中に流れて来たのは、何年も前に流行った曲だけど、大好きな曲。ライブに行ったことも思い出すなあ。というよりも、それは忘れようにも忘れることができない、たぶん、一生覚えていると思います。最近は全然ライブになんか行ってないから、それ自体も懐かしい。その日はライブがあるスタジアムの近くのカフェで友人と待ち合わせをしていました。かなり早く着いた私はコーヒーを飲みながら持ってきた文庫本を読んで彼女を待っていました。私たちは晴れ女だというのに、その日はあいにくの空模様。ライブの間に降り出すかもしれないなぁと私は心配していました。そう思いながら、外の様子から本に目を戻して、少ししたら友人がやってきました。「もう降って来たよ」って言いながら。覚悟を決めるしかないかなってことで、傘は持参してたけど、会場に途中で雨がっぱを買いました。この日は念願のアリーナ席。私たちはバッグを座席の下に置き、雨がっぱを着ました。ライブは小雨の中始まりました。オープニングからヒット曲の連続で、一気にテンションが上がります。そのテンションと並行するように、雨の勢いがもの凄くなってきました。初めは傘を取り出したんだけど、途中からもうどうでも良くなって濡れ放題でした。変なもので、もういいやって思ったら、濡れることなんて全く平気になりました。返って気持ちイイくらい。雨がっぱを着てると言っても髪も靴もびしょびしょでした。けど、なんて自由で楽しいんだろうってワクワク気分でいっぱいでした。雨に負けない熱気の中、ライブは終了。私たちは帰り道、駅に着いたところで水を含んで重たくなった靴を絞りました。初めて雨が楽しいと思った日でした。忘れられない思い出です。でも、実はもう一つ忘れられないことがあるんです。友人を待っていた時に私が読んでいた本です。それはもうヨレヨレになっていました。だから、その本も一生忘れられない本になってしまいました。

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